老後資金に関する知識

老後のライフプランをシミュレーション!資金は果たして足りるのか?

「もうすぐ定年を迎えるけれど、今後の生活が不安」「老後にいくらくらいのお金が必要なのかがわからない」「豊かな老後を送りたいけれど、お金の面で不安がある」、定年退職が近くなってくると、このようなことを考える人もいるのではないでしょうか。

ここでは、そのような「老後の不安」を払しょくするべく、現在の高齢者の状況と、老後資金がどれだけ必要なのか、そして老後のライフプランの立て方について追っていきます。

老後破産が増えている?防ぐには老後のライフプランや備えが必要

「仕事を引退したあと、悠々自適の生活を送ること」を夢見る人は、非常に多いのではないでしょうか。しかし、現在は「老後破産」も社会問題になっています。

70歳以上の人が破産する確率は、1994年と2014年を比較した場合、その割合は4~5倍にも増えています。多少の増減はあるものの近年は増加傾向にあり、決して他人事ではありません。 2014年のデータでは、60歳以上の破産率は、破産者率全体の25パーセント近くにも上っています。70代に限った話であっても、8.63パーセントにも上っています。

どうしてこのような悲劇が起きてしまうのでしょうか。理由として老後のライフプランを立てられておらず浪費を重ねてしまったこと、アクシデントによる負担の備えができていないなどが挙げられます。

子供も独立して家や車のローンも完済し生活も楽になるし、退職金ももらえれば「なんとかなるだろう」と何の考えもなしに好きな暮らしを続けていては、後の不幸を招いてしまうかもしれないのです。

では老後破産を避けるためにはどのくらいの資金とどのような工夫が求められるのでしょうか。これについては、一概に「○円以上あればよい」と言い切ることはできません。どのような生活をしたいか、今の財産状況はどれくらいかによって違うからです。

貯金額・退職金・年金受取額から老後資金を算出し、そのなかで「老後破産をしない範囲でどのような暮らしができるのか」を考えていく必要があるのです。これについて見ていきましょう。

老後資金からどのような暮らしができるかプランを立てよう

老後のライフプランを立てていくために、次のようなステップで生活資金にどれだけのお金をあてられるか、つまり月々どの程度のお金で生活していけばよいのかを求めていく必要があります。

老後のライフプランを立てる4ステップ
  1. 老後資金がどれだけあるのかを算出する
  2. イベント資金を算出する
  3. 万が一のための予備資金を算出する
  4. 生活資金にあてられるお金を求める

1.老後資金がどれだけあるのかを算出する

男性と女性では、寿命が異なります。2016年のデータによれば、男性は80.98歳、女性は87.14歳です。ここでは少し長生きしたとして90歳までの老後資金について見ていくことにしましょう。

老後資金を求めるには定年退職時点での貯金額、まだ退職していない方はそれに加えて退職金、そして年金の受取額を把握していきます。貯金額はご家庭によって様々ですが、退職金の平均額は、大卒で65歳まで勤め続けた場合、2491万円という試算が出ています。

もらえる年金の月額平均値は厚生年金に加入している場合は14万5,305円、国民年金のみの場合は5万5,244円です。例えば厚生年金に加入しており65歳から受給開始し90歳までを計算すると、14万5,305円×12ヶ月×25年=4359万1,500円となります。

しかし厚生年金に加入している期間や給与・賞与の額によって受取額には幅があります。また配偶者の年金も考慮する必要があるため、配偶者の年齢によってその受給されるタイミングも異なります。そのためそれぞれのケースにおいての年金の受取額は確認しておきましょう。

2.イベント資金を算出する

実際の老後の生活においては、「イベント費用」もかかります。子どもの結婚費用や旅行、車や家電製品の買い替えなどです。これの概算を出すことは、それほど簡単なことではありません。グレードによっても異なりますし、「そもそも自分たちがどれほど出すか」によっても異なるからです。

ただ、子どもの結婚費用は、平均で約350万円程度とされています。両家で分けたとしても、200万円程度の予算は確保しておきたいものです。また、1回の海外旅行では夫婦2人で50万円程度の出費(ヨーロッパと仮定)を覚悟しておく必要があるでしょう。

家のリフォームにもお金がかかります。キッチンのリフォームだけでも100万円程度かかることは珍しくありません。ただし、介護リフォームの場合は補助金が出される可能性も高いので、チェックしておきましょう。

3.万が一のための予備資金を算出する

歳を重ねていくにつれ不測の事態が起こる可能性も高くなっていきます。病気や介護による医療費・介護費のことも考えておかなければなりません。高齢者を狙った詐欺にお金をだまし取られてしまい破たんしてしまったというケースもあります。

介護費用は550万円程度はかかるとされていますし、また医療費がかさむことも多いため、生活費以外のお金が出ていくことも想定に入れてください。予備資金はあればあるほど心強いものですし、それだけ手厚い医療や介護を受けられる要素にもなりえます。

4.生活資金にあてられるお金を求める

1~3で試算した金額から生活資金にあてられるお金がいくらなのかが求められます。以下のような計算を行います。

生活資金 = 老後資金-イベント資金-予備資金

例えば老後資金が8000万円、イベント資金が2000万円、予備資金が1000万円と仮定すると生活資金に回せるお金は5000万円となります。65歳~90歳までの25年間となりますので、5000万円÷25年÷12ヶ月=16万6,667円となります。

つまりこのケースでは、老後破産を防ぐために月の支出額を16万6,667円に抑えなければならないということになります。もしこれでは生活できないとなればイベント資金を見直すなどプランの立て直しが必要となります。

ハルノブ
ハルノブ
このように試算することで月々の支出額の目安を把握することができます。目安が分かれば無駄な浪費をしないようにコントロールすることもできるでしょう。老後破産という後々の悲劇を招かないためにも老後のライフプランをしっかり立てるようにしましょう。

老後ライフプランのシミュレーション例

今まで挙げてきた情報を元に、シミュレーションをしてみましょう。Aさん家族の場合、どのようなライフプランとなるでしょうか。

シミュレーション設定

家族構成

Aさん:65歳 65歳まで会社勤めし退職
妻:57歳 専業主婦、国民年金のみ納付
長男:35歳 既婚
次男:33歳 未婚

貯金額

1000万円

老後の想定イベント

  • 2年に1回夫婦でヨーロッパに旅行に行く(1回50万円)
  • リフォーム費用として300万円を確保
  • 子供(次男)の結婚費用として200万円を確保

予備資金の想定

介護費用550万円+医療費を考慮し1000万円を確保

Aさんの老後のライフプランをシミュレーション

1.老後資金がどれだけあるのかを算出する

貯金は設定にあるように1000万円、退職金は平均値の2491万円とします。受け取れる年金について詳しく算出します。ここでも90歳までを仮定して計算していきます。

【Aさんの年金】
Aさんは厚生年金に加入しているので、老齢基礎年金に加え老齢厚生年金が受け取れます。ここでは平均値の月額14万5,305円とします。14万5,305円×12ヶ月×25年=4359万1,500円が受け取れます。

【妻の年金】
妻は国民年金のみですので、老齢基礎年金のみが受け取れます。ここでは平均値の5万5,244円とします。5万5,244円×12ヶ月×25年=1657万3,200円となります。

【加給年金の加算】
またこのケースでは妻が65歳になるまでは加給年金が加算されます。年額38万9,800円が65歳になるまでの8年間加算されますので38万9,800円×8年=311万8,400円。

これらの年金を全て合計すると6328万3,100円となります。ですので、貯金・退職金・年金を合わせ、1000万円+2491万円+6328万円=9819万円が老後資金の合計金額です。

2.イベント資金を算出する

設定のようにイベントが発生すると、ヨーロッパ旅行はAさんが90歳になるまでの13回で50万円×13回=650万円、リフォーム費用の500万円、子供の結婚費用の200万円がかかります。650万円+500万円+200万円=1350万円がイベント資金として必要になります。

3.万が一のための予備資金を算出する

設定のように1000万円を予備資金として確保します。

4.生活資金にあてられるお金を求める

1~3より、9819万円-1350万円-1000万円=7469万円が生活資金に充てられることとなります。Aさんが90歳になるまでの25年間と妻が90歳になるまでの33年間の生活を考慮する必要がありますので、7469万円÷(25年+33年)÷12ヶ月=10万7,313円が一人当たりの1ヶ月に使える生活資金となります。

なのでAさんが90歳なるまでの25年間は夫婦で月21万4,626円、そのあと妻が90歳になるまでの8年間は月10万7,313円が生活資金として使えるということを算出できました。

このようにしてひと月に使える生活費を把握することができます。この中から賃貸であれば家賃、ガス光熱費、食費、車の維持費、衣服類などの支出を当てはめていきましょう。

また今回、妻が90歳になるまでの8年間のひと月に支出について、単純に夫婦で過ごす25年間の半分にしていますが、実際はこれでは足りないケースがでてきます。例えば家賃10万円の家に住んでいたらそれだけで1ヶ月の支出額に達してしまいます。ですのでここは微調整しなければなりませんので注意が必要です。

老後のライフプランまとめ

  • 現代の高齢者の間で老後破産が増えている
  • 老後資金がどれだけあるのかを把握する
  • イベント資金、予備資金を試算する
  • 老後の生活費にあてられる金額を求めてライフプランを立てる

老後にかかるお金は、考えている以上に高額です。無計画にお金を浪費していては老後破産となりかねません。いずれにせよ、現役時代の働き方や貯蓄が、老後の豊かさを大きく左右します。不安がある人は早めにライフスタイルやライフプランを見直しましょう。