老後資金に関する知識

生前贈与で5000万円以上が非課税に?相続税の節約方法とは

相続税対策はどこも大変なものです。場合によっては多額の相続税がかかります。これには明確な定めがあるのですが、1000万円以下の場合でも10%、3000万円~5000万円以上ならば20%、5000万円~1億円なら30%…と徐々に課税額があがっていきます。6億円以上の場合は55%と、なんと半分も税金でとられてしまうのです。(※それぞれで控除額が定められています)

この「相続税」を少しでも安くして、子供や孫にかかる負担を減らすためにはどのようにしたらよいのでしょうか。さまざまな節税対策がありますが、「生前贈与」というかたちをとることによって、相続税を軽減することができます。ここでは特に「生前贈与」について取り上げます。

教育資金贈与で1500万円までが非課税

まず利用したいのが、「教育資金贈与」です。教育資金贈与とは、その名前の通り、「教育に関わるための資金であるならば、それに対しては税金をかけない」という制度をいいます。この制度を利用することにより最大1500万円までが非課税となります。

一番分かりやすい例では大学の入学費用などですが、留学にかかる費用やそこにいくまでの交通費、意外なところでは塾なども「教育資金贈与」の対象となります。

ただしこれには条件があります。まず「教育資金」ということですから、対象となるのは「30歳以下」です。これは「教育資金贈与を受けるときの年齢」ではありません。「教育資金贈与を受けた者が、30歳になるまでにこれを使いきらなければならない」という条件なのです。使い切れなかった部分に関しては贈与税が加算されます。

つまり、18歳で1500万円の教育資金贈与を受け、30歳の時点でまだ1000万円しか利用していなかった場合、残りの500万円が課税対象となってしまうのです。もっとも、税金は「現在残っている500万円」より高くなることはありません。そのため、残った500万円のなかから払えばよいのです。

ハルノブ
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「教育資金贈与」としてもらったにも関わらず、遊行費などで1500万円を使ってしまっていた場合、税金のみを新たに払わなければなりませんので注意が必要です。

住宅資金贈与で最大3000万円まで非課税

「住宅資金贈与」とは、「子どもや孫が住宅を買う場合、それを援助するために出したお金は非課税とする」という制度です。年齢制限などがないため、だれでも利用することができます。

この制度の場合、最大3000万円までが非課税となります。ちなみにこの制度は、しっかり申告しなければ使えません。「どうせ控除対象内だから、申告しなくても大丈夫だろう」という考えは通用しないので注意が必要です。申告が漏れていた場合は、通常通り課税対象となってしまいます。

また、「資金援助をしたけれど、黙っていた」という場合はすぐに見抜かれるので注意が必要です。これは、登記簿謄本を辿れば分かるとされています。住宅ローンを組む場合はこれに「どこの銀行から借りたのか」「いくら借りたのか」が記されます。

「親に多額の援助を受けたため、借財を作らずに家を建てることができた」という人の場合は、「その年代から考えて、普通ならばお金をかりなければならない物件を一括で買った」という事が分かってしまうわけです。

もちろん、その人の年棒や貯金で、ローンを組まずに一括で高い家を買える人もいるでしょう。しかし、調査の結果、やはりその人の仕事スタイルなどから考えてあきらかにおかしいと疑われた場合は調査も入ります。しっかりと申告しなければなりません。

ハルノブ
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この制度は段階的に非課税額が減少するので早めの贈与がお得です。2020年3月までは最大3000万円となりますが、2020年4月~2021年3月には最大1500万円まで、2021年4月~12月の場合は最大1200万円までが非課税の対象となります。

結婚・子育て資金贈与で1000万円まで非課税

「子どもは結婚して、所帯を持つまでは親が面倒を見てあげなければ」と思っている人もいるかもしれません。そんな人の心情に寄り添うのが、2015年の税制改革を受けて誕生した「結婚・子育て資金贈与(『結婚・子育て資金贈与の一括贈与に係る贈与税の非課税措置』)」です。

これは、結婚や子育てに関する費用を対象に最大1000万円まで非課税となる制度です。この制度を使えば、結婚式にかかる会場代や衣装代が補えます。ただし、婚活や結納、あるいはエステ代、新婚旅行費用といったものにはこれは使えません。また、「結婚したことで新居に移ったから、その敷金や礼金として使う」「引っ越しの費用として使う」ということもできます。

「結婚・子育て資金贈与」は、名前の通り、「子育て」についても支援します。その支援は、子供の出生前から始めることができます。

不妊治療のための費用や、妊娠を理由とする疾患の治療などがその対象です。また、出産~産後ケア、さらには小学校入学前の子供の医療費としてもこれを利用することができます。ただし、「治療のためにお金をかけて遠方に行った」という場合、その交通費などは非課税とはされません。

さまざまな条件はあるものの、新しく夫婦になったばかりの2人や、新しい家族を迎えるためにかかる費用への援助について、非課税とされると考えておけばよいでしょう。

ハルノブ
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この制度も期限がありますので贈与する場合は早めに検討しましょう。2015年4月1日から2019年3月31日までの特例期限付きの制度です。

暦年贈与では毎年110万円が非課税となる

生前贈与の手続きを取らずに贈与する場合は、年間で110万円以上で課税対象となります。 逆に言えば、毎年110万円までが非課税となるのです。これについて少し詳しく見ていきましょう。

これは、「暦年贈与」と呼ばれるシステムです。「1月1日から12月31日までの1年間において、子供などに対する贈与が110万円以下であったなら、それは非課税とされる」という制度であるため、利用している人も多く見られます。ちなみに、「両親それぞれからもらう」という場合は、両親を合わせた金額が110万円である必要があります。

また、子供への贈与であっても以下の3段階のプロセスが必要です。

  1. 契約書を作ること
  2. 資金をやりとりすること
  3. 仮に110万円を超える金額のやり取りがあった場合は、それに対して贈与税がかかるのでこれの申告(及び納税)を行う

なお、2の部分は特に失敗が多いものですから、特に注意が必要です。実際に資金のやり取りが行わなければなりませんから、「子供の名義の通帳に親が振り込み、しかしそれを子供には渡さない」という作業をしていた場合、これは暦年贈与としては認められません。

「子供が無駄遣いをしそうで怖い。まだ若いから、子供にあげたことにして実際は親が管理する。自分が死ぬか、自由がきかなくなるくらいに渡そう」と考えて実行した場合、課税対象となります。

また、「連年贈与」についても把握しておきましょう。これはやや複雑です。「1000万円をあげることを前提として、1年間に100万円ずつを10年間にわたって与え続ける」とした場合、これは「連年贈与」とされることがあります。「初めから約束されていたもの」については、暦年贈与の範疇外とされる可能性があります。

相続税の節約まとめ

相続税は、場合によっては55パーセントもの税率がかけられるものです。そのため、さまざまな人が、少しでもこれを軽減するべく対策をしています。これを「生前贈与」というところから見るのであれば、次の4パターンがあると考えられます。

  • 教育資金贈与(1500万円まで)
  • 住宅資金贈与(3000万円まで)
  • 結婚・子育て資金贈与(1000万円まで)
  • 暦年贈与(1年の間に110万円以下)

もちろん、併用が可能なものもあります。

これらを利用することにはさまざまな手続きが必要であるため、「面倒だ」という人もいるかもしれません。しかしこのような小さな方法をうまく利用すれば、課税対象額を減らすことができる可能性があります。